Pythonを学び始めると、少ししてからGitやGitHubという言葉を見かけるようになります。
教材や動画でも、当たり前のようにgit cloneやgit commitというコマンドが出てきますよね。Pythonだけでも覚えることが多いのに、さらにGitまで必要なのかと不安になる人も多いと思います。
結論から言うと、Python初心者でもGitは早めに少し触れておくのがおすすめです。
ただし、最初から完璧に覚える必要はありません。まずは、自分のコードを安全に保存する道具として使えれば十分です。
この記事では、IT初心者の方に向けて、Python学習にGitが必要な理由と、最低限覚えたい使い方をわかりやすく解説します。
Gitとは何か¶
まず、Gitとは何かをざっくり理解しましょう。
Gitは、コードの変更履歴を管理するためのツールです。
もう少しやさしく言うと、コードのセーブポイントを作れる道具です。
ゲームでボス戦の前にセーブするように、プログラムでも動いている状態を保存しておけます。もし変更して動かなくなっても、前の状態に戻しやすくなります。
Python学習でも、少し進むとファイルが増えたり、動いていたコードが急に壊れたりします。そのときにGitがあると、どこを変えたのかを確認できます。
Gitはプロだけのものではありません。初心者が自分の学習を守るためにも役立ちます。
GitHubとの違い¶
Gitと一緒によく出てくるのがGitHubです。
名前が似ているので混乱しやすいですが、GitとGitHubは別のものです。
| 名前 | 役割 | 初心者向けのイメージ |
|---|---|---|
| Git | 変更履歴を管理する道具 | 自分のパソコン内のセーブ機能 |
| GitHub | Gitで管理したコードを置けるサービス | インターネット上の保管場所 |
| Gitコマンド | Gitを操作する命令 | 保存、確認、送信などの操作 |
Gitは道具です。
GitHubは、その道具で管理したコードをアップロードできる場所です。
最初はGitだけでも十分です。慣れてきたらGitHubにコードを置き、学習記録やポートフォリオとして使うとよいです。
Python初心者にGitは必要なのか¶
ここで、多くの人が気になる疑問に戻りましょう。
Python初心者にGitは本当に必要なのでしょうか。
答えは、学習段階によります。print関数や変数を学んでいる最初の数日は、Gitがなくても問題ありません。
しかし、Pythonで何かを作り始めたら、Gitはかなり役立ちます。
たとえば、クイズアプリ、TODOアプリ、ファイル整理ツール、Webアプリなどを作る段階です。コードを何度も修正するようになったら、Gitを使う価値が出てきます。
以下の記事でも解説していますが、基礎文法の後は小さなアプリ作りが大切です。そのタイミングでGitも一緒に触れると、学習成果を残しやすくなります。 【関連記事】Pythonの基礎文法を学んだ後、次に何をすればいい?
Gitを使うメリット¶
Gitを使うメリットは、チーム開発だけではありません。
初心者の独学にもかなり効果があります。
変更前に戻せる安心感がある¶
プログラミング学習では、動いていたコードを少し変えたら動かなくなることがあります。
これは誰でも経験します。
Gitを使っていない場合、元のコードを思い出しながら戻す必要があります。場合によっては、何を変えたのかわからなくなります。
Gitで変更履歴を残しておけば、前の状態との差分を確認できます。
ここを変えたからエラーになったのか、と気づきやすくなります。
この安心感はかなり大きいです。
初心者のころは、コードを壊すのが怖くて変更をためらうことがあります。でもGitがあれば、試してみようと思いやすくなります。
学習記録になる¶
Gitは、いつ何を変更したのかを記録できます。
たとえば、最初はprintだけだったコードが、関数に分かれ、ファイル保存に対応し、エラー処理が追加される。
その過程が履歴として残ります。
あとから見返すと、自分がどれだけ成長したかがわかります。
技術ブログやポートフォリオを作るときにも、GitHubにコードが残っていると説明しやすくなります。
以下の記事でも、学習成果を外に出すことの大切さを紹介しています。 【関連記事】技術ブログを書くまでが学習!学んだことをアウトプットして市場価値を上げる方法
チーム開発の入口になる¶
将来的にエンジニア転職や副業、チーム開発を考えているなら、Gitは避けて通れません。
実務では、Gitを使ってコードを管理することが多いです。
誰がどの変更をしたのか。どの変更を取り込むのか。問題が起きたらどの状態に戻すのか。
こうした作業にGitが使われます。
初心者のうちから少しずつ慣れておくと、あとでチーム開発に入ったときの負担が減ります。
初心者が最初に覚えるべきGitの考え方¶
Gitにはたくさんのコマンドがあります。
でも、最初からすべて覚える必要はありません。
まずは、3つの流れだけ理解しましょう。
コードを変更する。変更したファイルを選ぶ。コメントをつけて保存する。
この流れがGitの基本です。
| Gitの操作 | コマンド | 何をしているか |
|---|---|---|
| 状態を確認する | git status | どのファイルが変更されたか見る |
| 保存対象にする | git add | この変更を記録しますと選ぶ |
| 履歴として保存する | git commit | セーブポイントを作る |
| 履歴を見る | git log | 過去の保存履歴を見る |
| 差分を見る | git diff | どこを変更したか見る |
最初はこの5つだけで十分です。
特に、git status、git add、git commit の3つを覚えれば、ひとまず自分のコードを保存できます。
Gitを使う前の準備¶
Gitを使うには、まずパソコンにGitをインストールする必要があります。
この記事では細かい画面操作よりも、使い方の流れを重視します。インストール後、ターミナルやコマンドプロンプトで次のコマンドを実行します。
git --version
次のようにバージョンが表示されれば、Gitを使える状態です。
git version 2.45.0
バージョンの数字は環境によって違います。エラーになる場合は、Gitがまだ使える状態になっていない可能性があります。
最初にユーザー名とメールを設定する¶
Gitでは、誰が変更したのかを記録します。
そのため、最初にユーザー名とメールアドレスを設定します。
git config --global user.name "Your Name"
git config --global user.email "your-email@example.com"
ここで設定した名前とメールは、commitの履歴に使われます。GitHubで公開する場合は表示される可能性があるので注意しましょう。
設定できたか確認するには、次のコマンドを使います。
git config --global --list
最初の設定は少しつまずきやすいですが、一度設定すれば毎回やる必要はありません。
PythonプロジェクトでGitを使ってみる¶
ここからは、実際にPythonの学習用フォルダでGitを使う流れを見ていきましょう。
まず、作業用のフォルダを作ります。
mkdir python-git-practice
cd python-git-practice
次に、Gitで管理を始めます。
git init
git initは、このフォルダをGitで管理しますという意味です。
実行すると、.gitという隠しフォルダが作られます。この中に変更履歴が保存されます。
次に、Pythonファイルを作ってみましょう。
# main.py
name = input("名前を入力してください: ")
print(f"{name}さん、こんにちは")
ファイルを保存したら、状態を確認します。
git status
すると、main.pyがまだGitに記録されていないファイルとして表示されます。
次に、記録対象に追加します。
git add main.py
そして、commitします。
git commit -m "最初のあいさつプログラムを追加"
これで1つ目のセーブポイントができました。
変更して差分を見る¶
Gitの便利さは、変更したときにわかります。
main.pyを次のように変更してみましょう。
name = input("名前を入力してください: ")
age = input("年齢を入力してください: ")
print(f"{name}さんは{age}歳なんですね")
この状態で、差分を見ます。
git diff
git diffを使うと、前回のcommitからどこが変わったのかを確認できます。
初心者のうちは、この差分を見る習慣が大切です。余計な変更に気づきやすくなります。
変更内容に問題がなければ、またaddしてcommitします。
git add main.py
git commit -m "年齢を入力できるように変更"
このように、小さく変更して、小さく保存するのがGitの基本です。
commitメッセージは何を書けばいいか¶
初心者が迷いやすいのがcommitメッセージです。
updateや修正だけにしてしまう人も多いですが、あとから見返すためには、何をしたのかがわかるメッセージにすると便利です。
| よくない例 | 改善例 |
|---|---|
| 修正 | 入力した名前を表示する処理を修正 |
| update | 年齢入力フォームを追加 |
| 変更 | クイズの正解数を表示する処理を追加 |
| test | 合計金額の計算テストを追加 |
commitメッセージは、未来の自分へのメモです。少しだけ具体的に書くのがおすすめです。
Gitでよくある初心者のつまずき¶
Gitは便利ですが、初心者がつまずきやすい道具でもあります。ここでは、よくある悩みを整理します。
何をaddすればいいかわからない¶
git addは、commitに含める変更を選ぶ操作です。
最初は、変更したファイルをすべて追加しても問題ありません。
git add .
git add .は、現在のフォルダ以下の変更をまとめて追加します。
ただし、慣れてきたらgit statusで確認してから追加する習慣をつけましょう。
不要なファイルまでcommitしてしまうことがあるからです。
変なファイルをcommitしてしまう¶
Python学習では、__pycache__や.venvなどのフォルダができることがあります。
これらは通常、Gitで管理しないことが多いです。
そのために .gitignoreというファイルを作ります。
__pycache__/
.venv/
.env
.gitignoreに書いたファイルやフォルダは、Gitの管理対象から外せます。
特に.envにはAPIキーやパスワードを書くことがあるため、公開リポジトリに入れないよう注意が必要です。
エラーが怖くて操作できない¶
Gitのコマンドでエラーが出ると焦りますよね。
でも、GitのエラーもPythonと同じで、メッセージを読めばヒントがあります。
何が足りないのか。commitする変更がないのか。最初は難しく見えますが、よく出るメッセージは限られています。
Pythonのエラー文に慣れておくと、Gitのエラーにも向き合いやすくなります。
【関連記事】Pythonのエラー文はどこを読めばいい?初心者向け traceback の見方
GitHubはいつ使えばいいか¶
Gitに少し慣れてきたら、GitHubも使ってみましょう。
GitHubを使うと、自分のコードをインターネット上に保存できます。バックアップにもなりますし、ポートフォリオとして人に見せることもできます。
ただし、初心者がいきなりGitHubの細かい機能まで覚える必要はありません。
最初は、リポジトリを作って、コードをpushするところまでで十分です。
git remote add origin リポジトリのURL
git branch -M main
git push -u origin main
ここで出てくるremoteやpushは最初は難しく感じるかもしれません。
remoteは、GitHub上の置き場所を登録するイメージです。pushは、自分のパソコンのcommitをGitHubに送る操作です。
ブランチは最初から覚えるべきか¶
Gitの話になると、branchという言葉も出てきます。
ブランチは、作業の流れを分ける機能です。
たとえば、動いているコードを保ったまま、新機能を試すために別の作業場所を作れます。
実務ではよく使いますが、Python学習の最初から深く覚える必要はありません。まずは main ブランチだけで、add、commit、push の流れに慣れましょう。
小さなアプリを作れるようになってから、機能追加用のブランチを作ってみるくらいで大丈夫です。
私がGitで大事だと思うこと¶
私はエンジニアとして10年ほど開発に関わってきましたが、Gitに何度も助けられてきました。特に大きいのは、変更の理由を追えることです。
実務では、数週間前や数か月前の変更が問題になることがあります。そのとき、Gitの履歴を見ると、なぜその変更をしたのかを思い出せます。
逆に、commitメッセージが雑すぎると困ります。
修正、修正2、最終版、最終版本当、のような履歴だと、あとから何もわかりません。
初心者のうちは完璧でなくて大丈夫です。
ただ、1つのcommitには1つの目的を持たせる。この意識だけでも、かなり見返しやすくなります。
もう1つ大切なのは、Gitを怖がらないことです。最初は status、add、commit、diff、log を繰り返すだけでも十分役立ちます。
Python初心者が最低限覚えたいGitコマンド一覧¶
ここまで紹介した内容を、最後に一覧で整理します。
最初からすべてを暗記しなくても大丈夫です。使うたびに見返せば自然と覚えていきます。
| コマンド | 使う場面 | 意味 |
|---|---|---|
| git --version | Gitが使えるか確認する | バージョン確認 |
| git init | 新しくGit管理を始める | リポジトリ作成 |
| git status | 現在の状態を見る | 変更ファイル確認 |
| git add ファイル名 | commit対象にする | 保存候補に追加 |
| git add . | まとめて追加する | 変更を一括追加 |
| git commit -m "メッセージ" | 履歴として保存する | セーブポイント作成 |
| git diff | 変更内容を見る | 差分確認 |
| git log | 履歴を見る | commit履歴確認 |
| git push | GitHubに送る | リモートへ反映 |
最初に毎回使うのは、ほぼgit status、git add、git commitです。
この3つに慣れたら、diffとlogを使って履歴を見る習慣をつけましょう。
Gitを学ぶおすすめのタイミング¶
Gitを学ぶタイミングは、Pythonの基礎文法を少し学んだあとがおすすめです。
変数、if文、for文、関数、リストあたりがなんとなくわかってきたら、小さなアプリを作り始める段階です。
そのタイミングでGitを導入すると、学習成果を安全に残せます。
逆に、Pythonの最初の1日目からGitを本格的に学ぼうとすると、負担が大きくなりすぎるかもしれません。
Pythonの文法とGitの操作を同時に深く覚えようとすると、どちらも中途半端になりやすいです。
まずはPythonで少しコードを書く。そのあと、作ったコードをGitで保存する。この順番が自然です。
まとめ¶
Python学習にGitは必要なのか。
答えは、最初の数日は必須ではないけれど、何かを作り始めたら早めに使ったほうがよいです。
Gitは、コードの変更履歴を管理する道具です。初心者にとっては、自分のコードを安全に保存するセーブポイントのような存在です。
最初から難しい機能を覚える必要はありません。
まずは、git status で状態を確認し、git add で変更を選び、git commit で保存する。この3つの流れだけで十分です。
慣れてきたら、git diff で変更内容を確認し、git log で履歴を見る。さらにGitHubにpushして、学習成果を残していきましょう。
Python学習では、コードを壊して直す経験がとても大切です。
Gitがあると、安心して試せます。
完璧に覚えてから使うのではなく、使いながら少しずつ慣れていけば大丈夫です。
今日作った小さなPythonファイルを、まず1回commitしてみましょう。
ここまでお読みいただきありがとうございました。