Ruff(ラフ)とは?Pythonで綺麗なコードを書く初心者向けにわかりやすく解説

公開日: 2025-09-01

はじめに:Ruffとは何か?

Pythonで開発を進めていくと、必ず直面する課題があります。 それは「コードの読みやすさ」と「コードの品質」をどう保つか、ということです。

コードは一人で書いているときは気にならないかもしれませんが、チーム開発になった途端に「人によって書き方が違う」「無駄なimportが多い」「可読性が低い」といった問題が浮き彫りになります。 その結果、バグが増えたり、レビューの手間が増えたりしてしまうのです。

この問題を解決するために登場したのが Ruff(ラフ)。 Rustで実装された 超高速かつ多機能なPython向けLint兼Formatter であり、これまで複数のツールを使って実現していたチェックや整形を、1つにまとめて行えるのが大きな特徴です。

具体的には以下のような特徴があります。

  • Flake8+Black+isort+pyupgradeなどを ひとつのツール で置き換え可能
  • 10〜100倍の速度改善 を実現、Black互換のフォーマットにも対応
  • デフォルトでFlake8ルールの F/E 系をサポートし、さらに数百以上のルールに対応

つまり、従来の「ツールがバラバラ」「設定ファイルが増えすぎる」「CIが遅い」という課題を一気に解決してくれる存在なのです。

なぜRuffが選ばれるのか?メリット一覧

では、ここからはRuffを導入することで得られる具体的なメリットについて見ていきましょう。 単に「速い」だけでなく、開発体験そのものを改善してくれる機能が多く揃っています。

圧倒的な処理速度

Rust実装により、大規模プロジェクトでも瞬時にLintチェックや整形が完了します。 たとえば数十万行のコードベースでも、ものの数秒でチェックが終わるため、CI/CDパイプラインの待ち時間が劇的に減ります。

lintとformatが1本化

従来はFlake8でLint、Blackで整形、isortでインポート整理と、複数ツールを使い分けていました。 Ruffならruff checkruff formatで完結するため、管理がとても楽になります。

Flake8ルール完全互換+拡張ルール対応

「F401(未使用インポート)」のようなFlake8由来のルールに加えて、pyupgradeやisort、bugbearなどの拡張ルールも使えます。 つまり、他のツールで必要だったチェックを一括で担ってくれるのです。

柔軟な設定が可能

pyproject.toml に設定をまとめられるので、プロジェクトの方針に合わせてルールをカスタマイズできます。 適用するルール、除外するルールを細かく指定できるため、「厳しすぎて開発が止まる」といった問題を防げます。

エディタ・CIに統合しやすい

VS CodeやPyCharmなどのIDE、さらにpre-commitやGitHub ActionsといったCI/CDツールともスムーズに連携可能です。 これにより、保存時に自動整形、PR時にLintチェックといった運用が実現できます。

このように、Ruffは「速さ」「便利さ」「柔軟さ」のすべてを兼ね備えたツールと言えるでしょう。

Ruffの導入方法

ここからは、実際にRuffを導入して使う流れをステップごとに解説します。 サンプルコードを交えて紹介するので、ぜひご自身の環境でも試してみてください。

1. インストール

まずはインストールから。pipで簡単に導入できます。

pip install ruff

あるいはmacOSユーザーならHomebrew、Anacondaユーザーならcondaでもインストール可能です。

brew install ruff
conda install -c conda-forge ruff

2. サンプルコードを用意する

次に、チェック対象となるPythonコードを用意してみましょう。 わざと不要なインポートやスタイルの崩れを入れておきます。

# app.py
import sys, os

def add_numbers( a,b ):
    """Add two numbers."""
    result=a+b
    return result

def unused_func():
    pass

x = 1
y = 2
print(add_numbers(x,y))

3. チェック実行

続いて、実際にRuffでチェックをしてみます。

ruff check app.py

すると、例えば以下のような出力になります。

app.py:2:1: F401 unused import os
Found 1 error. 1 fixable.

ここでは「未使用のimportがある」というエラーが検出されました。

4. 自動修正(--fix オプション)

手動で直すのは面倒なので、Ruffに自動で修正させてみましょう。

ruff check app.py --fix

これで未使用の os が削除され、きれいな状態になります。

5. 整形実行

次に、フォーマッタ機能を試してみます。

ruff format app.py

これにより、余計なスペースやインデントが整えられ、統一感のあるコードに仕上がります。

6. 設定ファイルでルール制御

さらに使いこなすためには、設定ファイルを活用するのがオススメです。 プロジェクト直下に pyproject.toml を作成し、以下のように記述します。

[tool.ruff]
line-length = 100
exclude = ["tests/*"]

[tool.ruff.lint]
select = ["E","F","UP","B","I"]
ignore = ["E203", "W503"]

これで「行長は100文字まで」「テストコードはチェック対象外」といった設定ができます。 柔軟に調整できるので、チームの方針に合わせたルール作りが可能です。

初心者にもわかる活用ポイントと利点

ここまで見ると「便利そうだけど、自分のような初心者に必要なのかな?」と思う方もいるかもしれません。 しかし、むしろ初心者こそRuffを使うべきです。

その理由は以下の通りです。

【自動修正機能が強力】 まだLintルールを覚えていなくても、自動で修正してくれるため安心です。

【Black互換なので安心】 コードスタイルを学ぶ前から、きれいに整形してくれるので「レビューで怒られる」ことが減ります。

【高速かつ軽量】 繰り返し実行してもストレスがなく、自然と「Lintを習慣化」できます。

要するに「初心者でも無理なく綺麗なコードを書ける」ようになるのがRuffの最大のメリットです。

サンプル活用シナリオ

では、実際にどんな場面で役立つのか、シナリオをいくつか見てみましょう。

A. ローカル開発での活用

例えばVS Codeを使っている場合、保存時に自動でLintと整形を走らせる設定ができます。

{
  "[python]": {
    "editor.defaultFormatter": "charliermarsh.ruff",
    "editor.codeActionsOnSave": {
      "source.fixAll": true
    }
  },
  "python.linting.ruffEnabled": true
}

これにより、保存するたびにコードが整えられ、無駄なエラーを残さずに済みます。

B. チーム開発での活用(GitHub Actions)

CIに組み込むことで、Pull Request時に自動でLintチェックを走らせることも可能です。

steps:
  - uses: actions/checkout@v3
  - name: Set up Python
    uses: actions/setup-python@v4
  - name: Install ruff
    run: pip install ruff
  - name: Run ruff
    run: ruff check . --fix

こうすることで、コードレビューの段階で「スタイルが揃っていない」といった指摘を減らせます。 レビューは本来のロジックに集中できるので、効率が大幅に向上します。

Ruff vs 他ツールの比較表

ここで一度、従来のツールとの違いを整理してみましょう。

項目 Ruff ブラック系ツール群(Flake8+Black等)
速度 非常に高速(数倍~数十倍) 遅く、大規模だと時間がかかる
Lint & Format 一本化されている(統合CLI) 個別ツールを連携させる必要がある
ルール柔軟性 select/ignore/extend-select で制御可能 複数ツールにわたる設定管理が複雑
自動修正の充実 多数の自動修正ルール対応 自動化は限定的 or 外部ツール依存
導入しやすさ CLIと設定が統一されてシンプル 設定ファイルが複数で分散しがち

この表からも分かる通り、Ruffは「速さ」と「一本化」が大きな強みです。

実体験に学ぶ成功へのヒント

私自身もRuffを導入してみて強く感じたのは、「初心者こそ導入すべき」ということです。 なぜなら、最初のうちはコーディングの癖が出やすく、コードスタイルもバラバラになりがちだからです。

例えば以下のような場面で、Ruffは非常に役立ちました。

  • 未使用のimportを見逃さず、自動で削除してくれた
  • インデントや空白のズレを直してくれた
  • 変数名が使われていないことを指摘してくれた

こうした細かい指摘や修正が積み重なることで、自然と「きれいなコードを書く習慣」が身につきます。 結果として、コードレビューでも褒められることが増え、モチベーションアップにもつながりました。

最後に:Ruff導入ロードマップ(まとめ)

最後に、Ruffを導入するためのステップをおさらいしましょう。

  1. pip install ruff で導入
  2. ruff check → ruff check --fix → ruff format を試す
  3. pyproject.toml でルールを調整
  4. VS CodeやPyCharmの拡張機能 を導入し、自動整形を有効化
  5. pre-commitやCI に組み込んで、チーム全体で一貫した品質を保つ

この流れに沿えば、初心者でもスムーズに導入できるはずです。

Pythonでの開発をもっと快適にしたい、コードレビューで細かい指摘を減らしたい、そんな方にこそ Ruffは最適な選択肢 です。

「コードがぐちゃぐちゃでレビューが大変」「複数のLintツールを管理するのが面倒」――そんな悩みを解決してくれるのがRuffです。
ぜひ一度プロジェクトに導入して、その快適さを体感してみてください。

それでは、Ruffで快適なPython開発ライフをお楽しみください 😊

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