Pythonは本当に遅い?初心者にもわかる原因と対処法を徹底解説

公開日: 2025-09-07

「Pythonって人気だけど、遅いって本当?」 「もし遅いなら、最初から別の言語を学んだ方がいいのかな…?」

こんな疑問を持ったことはありませんか?

実は私自身も、最初にPythonを学ぼうとしたとき、まさに同じことを考えていました。 「せっかく頑張って勉強しても、遅い言語を選んでしまったら失敗なんじゃないか」 そんな不安が頭から離れなかったのです。

でも安心してください。結論から言うと、Pythonは確かに「速さ重視の言語」ではありませんが、だからといって「使えない」「学ぶ意味がない」ということは全くありません。

むしろ、多くの開発シーンでは十分な速度を発揮し、さらに開発効率や学習のしやすさが圧倒的な強みになります。

この記事では、なぜPythonは遅いと言われるのか他の言語と比べるとどう違うのか、そしてどんな場面で本当に遅さが問題になるのかを、初心者でも理解しやすいように解説します。 さらに、実際のサンプルコードを交えて「ここは遅くなるけど、こうすれば改善できる」という実践的な知識も紹介します。

そもそも、なぜ「Pythonは遅い」と言われるのか?

まず最初に整理しておきたいのは、「Pythonはなぜ遅いのか」という根本的な理由です。 ここを理解しておくと、ただ漠然と「遅い」と聞いただけで不安になるのではなく、「どんな場合に遅くなるのか」を具体的に判断できるようになります。

では、一緒に見ていきましょう。

インタプリタ型だから遅くなりやすい

インタプリタと聞くと難しそうに感じるかもしれません。 でも、イメージはとてもシンプルです。

C++やRustのようなコンパイル言語は、プログラムを一度まとめて機械語に翻訳してから実行します。つまり、実行するときはすでに「最適化済みの完成品」が準備されている状態です。

一方、Pythonはインタプリタ型なので、コードを一行ずつ読みながら逐次実行します。言ってみれば、同時通訳のようなものです。その分、余計な時間がかかるのです。

だからPythonはC++よりも遅いと言われるのは、この仕組みの違いが大きな理由になっています。

動的型付けが便利な反面、遅さにつながる

Pythonの魅力の一つに「変数に型を宣言しなくてもいい」という便利さがあります。 例えばこんな感じです。

x = 10
x = "文字列に変えてもOK"

初心者にとってはとてもありがたい機能です。 ですが、コンピュータにとっては「この値は今、整数なの?文字列なの?」と実行時にいちいち確認しなければなりません。 このチェックの積み重ねが、結果的に処理速度の低下につながります。

GIL(グローバルインタプリタロック)の存在

もう一つ、初心者が最初は聞き慣れないかもしれませんが、「GIL(Global Interpreter Lock)」という仕組みがあります。

これは簡単に言うと「同じPythonプログラムの中で、同時に複数の処理をCPUで実行できないようにするロック」です。 そのため、CPUをフルに使った並列処理が苦手です。

「え?マルチコアのPCを使っても速くならないの?」と驚く方もいるかもしれません。

そうなんです。I/O処理(ファイル読み書きや通信など)はうまく並列化できるのですが、CPUに依存する重たい計算では限界があります。

実際にPythonはどれくらい遅い?体感できるサンプルコード

理屈だけではわかりにくいですよね。
ここで実際に遅さを感じられる簡単なサンプルコードを見てみましょう。

次のコードは「0から1000万までの数字を足し算して合計を求める」という単純な処理です。

import time

start = time.time()
total = 0
for i in range(10_000_000):
    total += i
end = time.time()

print("処理結果:", total)
print("処理時間:", end - start, "秒")

実行すると、私の環境では数秒かかりました。
「え?足し算だけでこんなに?」と驚く人も多いでしょう。

同じ処理をC++で書くと、驚くほど速く終わります。

#include <iostream>
#include <chrono>
using namespace std;

int main() {
    auto start = chrono::high_resolution_clock::now();

    long long total = 0;
    for (int i = 0; i < 10000000; i++) {
        total += i;
    }

    auto end = chrono::high_resolution_clock::now();
    chrono::duration<double> elapsed = end - start;

    cout << "処理結果: " << total << endl;
    cout << "処理時間: " << elapsed.count() << " 秒" << endl;

    return 0;
}

同じロジックなのに、言語が違うだけで何倍も速さが変わるのです。 これが「Pythonは遅い」と言われる大きな理由です。

他の言語と比べたとき、Pythonはどうなのか?

ここまでで「Pythonは確かに遅い面がある」とわかりました。 では、他の有名な言語と比べたときにどう違うのでしょうか?

Python vs C++

C++はハードウェアに近い低レベルな操作ができ、速度も圧倒的です。ゲームや組み込みシステムなど「1ミリ秒の遅延も許されない」分野ではC++が選ばれます。 ただし、文法が難しく、初心者が学ぶにはハードルが高いのが難点です。

Python vs Java

JavaはC++ほどではないですが、コンパイルされて動くため高速です。銀行のシステムや大規模な基幹システムなどでよく使われています。 ただし、コードが冗長になりがちで、学習コストもPythonより高めです。

Python vs JavaScript

JavaScriptはWebブラウザで動作する言語で、GoogleのV8エンジンなどのおかげで高速に動作します。Pythonと比べてもループ処理などで有利な場合が多いです。 ただし、非同期処理や細かい仕様でつまずきやすい点は初心者にとってやや難しい部分です。

【関連記事】Pythonと他の言語を徹底比較!初心者がPythonを学ぶべき理由

Pythonの「遅さ」が問題になるのはどんな場面?

ここまで読んで、「じゃあPythonはどんな場面で困るの?」と気になってきたのではないでしょうか。

実際に遅さが問題になるのは次のようなケースです。

  • 物理シミュレーションのように、1秒間に何百万回もの計算を繰り返す場合
  • ゲームのグラフィック描画やリアルタイム処理が必要な場合
  • IoT機器や組み込みシステムのように、限られたリソースで高速処理が求められる場合

逆に言えば、それ以外の多くの場面ではPythonの速度でも十分なのです。

遅いときにどうすればいい? Pythonの高速化テクニック

「でもやっぱり遅いのは不安…」という方も安心してください。 Pythonには遅さをカバーする方法がたくさんあります。

例えば、同じ合計計算でも、sum() を使うだけで速くなることがあります。

import time

start = time.time()
total = sum(range(10_000_000))
end = time.time()

print("処理時間 (sum):", end - start, "秒")

さらに、NumPyを使えば内部的にCで最適化された処理が走るため、驚くほど速くなります。

import numpy as np
import time

arr = np.arange(10_000_000)

start = time.time()
total = np.sum(arr)
end = time.time()

print("処理時間 (NumPy):", end - start, "秒")

「同じPythonでも、書き方やライブラリを工夫するだけでこんなに変わるのか!」と驚くはずです。

まとめ:Pythonは遅いけど、それ以上に価値がある

ここまで長く解説してきました。最後に改めてまとめましょう。

Pythonは確かにC++やJavaと比べると遅いです。インタプリタ型であること、動的型付け、GILといった仕組みが原因で、CPUを酷使するような処理では不利になります。

しかし、それ以上に「わかりやすい文法」「豊富なライブラリ」「速い開発スピード」というメリットがあります。 そして、多くの実務ではPythonの遅さは致命的な問題になりません。むしろ、開発効率を優先してPythonを選ぶ方がメリットが大きいのです。

もし遅さに直面したときも、NumPyやCython、マルチプロセスなどの手段があります。 つまり"遅い=使えない"ではなく、遅さを理解して、適材適所で工夫することが大事なのです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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